上図は ノーマル三間飛車 vs 左美濃 の終盤戦です。
先手の私が▲4四歩 と銀取りに当てながら歩を取り込んだ所ですが、これは負けを確定する悪手でした。
後手玉は次の▲4三歩成 が入らなければ安全な形なので明確に一手の余裕があります。
王手や詰めろで迫れば手番が回らない利点を活かし、先手玉を寄せ切る手順を考えてみてください。
答えは数行下の見出しで書きます。
寄せ問題の答え
では答えです。
上図以下、△3九銀(下図)
銀を放り込み「玉を射程圏内に入れる」のが「詰めろで迫る形」に持ち込む好手です。
▲1七玉 なら△2八角 ▲1八玉 △1九角成 からの詰み・・・
▲1八玉 なら△1七飛 ▲同玉 △2八角 から詰むので素直に取るしかありません。
上図以下、▲3九同玉 △5九と(下図)
そこで△5九と と金を取れば△4九金 からの詰めろ(詰み手順はこの後の変化で解説)になるので▲4三歩成 を入れる余裕がありません。
ここから
・▲2八玉
・▲4八銀
・▲4九銀打
・▲1四桂
などの受けに対する応手を解説します。
△5九と に▲2八玉 の変化
AIの最善手は▲2八玉(下図)と早逃げする手でしたが・・・上図以下、△4八金(下図)
金で貼りつき△3九角 の詰めろを狙えば寄り筋です。
この単純な詰みが受けにくく先手は困っています。
上図以下、▲3九銀(下図)
角打ちを防ぐ銀打ちが推奨手ですが・・・
上図以下、△3九同金(下図)
素直に取った手が△3八金 ▲同玉 △4九銀 ▲4七玉 △5八角 からの詰めろになるので手番は回りません。
ここで
・▲8三角
・▲3九同玉
の受けが考えられます。
△3九同金 に▲8三角 の変化
▲8三角(下図)と遠くから銀に紐を付ける手には・・・上図以下、△4八金(下図)
金で貼りつき・・・
上図以下、▲4九銀 △3八銀(下図)
手を稼ぐ▲4九銀 に△3八銀 と食い付けば寄り筋です。
以下、▲4八銀 と金を取るのは△2九金(下図)から詰むので受けになりません。
▲1七玉 なら△2五桂 ▲1八玉 △2八飛 までの詰み・・・
▲1八玉 なら△2八飛 ▲1七玉 △2五桂 までの詰み・・・
▲3八玉 なら△2八飛(下図)と打ち・・・
上図以下、▲4七玉 △3八角(下図)
角を打てば詰み形です。
▲3六玉 なら△2七飛成 ▲4五玉 △3三桂 ▲4六玉 △5四桂 までの詰み・・・
▲4六玉 なら△5四桂 ▲4五玉 △3三桂 ▲3六玉 △2七飛成(下図)までの詰みです。
△3八銀 は▲同銀(下図)と取る方が自然ですが・・・
上図以下、△3八同金引 ▲同角成 △同金 ▲同玉 △4九角(下図)
3八で清算してから△4九角 と打てば詰むのでこれも受けになりません。
以下、▲2八玉 なら△3九角 から取っても逃げても△3八飛 までの詰み・・・
▲4七玉 なら△5八角打 ▲4六玉 △5五銀 ▲4五玉 △3五飛(下図)までの詰み・・・
▲4八玉(下図)なら・・・
上図以下、△3八飛 ▲4七玉 △5八角打 ▲4六玉 △4八飛成 ▲5六玉 △5五銀(下図)
上記の手順が一例で詰みます。
△3九同金 に▲同玉 の変化
▲8三角 では受からないので△3九同金 は▲同玉(下図)と取るくらいですが・・・これには先ほど省略した△4九金(下図)から詰みがあります。
▲2八玉 なら△3九角 から簡単なので素直に取りますが・・・
上図以下、▲4九同銀 △同と(下図)
それを取り返せば詰み形です。
▲3八玉 は△4八飛 までの詰み・・・
▲2八玉 は△3九角 から詰むので取るしかありません。
上図以下、▲4九同玉 △6九竜(下図)
竜の王手が入れば一気に分かりやすくなりますね。
▲4八玉 なら△5八竜 からの詰み・・・
5九に合駒しても△同竜 からの頭金があって受けにならないので3八へ逃げますが・・・
上図以下、▲3八玉 △4八飛(下図)
飛車を捨てて引きつければ・・・
上図以下、▲4八同玉 △5八竜 ▲3九玉 △2八銀(下図)
銀打ちまでのキレイな詰みです。
△5九と に▲4八銀 の変化
早逃げしてもダメなら▲4八銀(下図)と受ける手も考えられますが・・・上図以下、△4九金(下図)
かまわず金を打てば寄りです。
▲2八玉 なら△4八金 と銀を取った手が先ほどの変化と似た詰めろなので・・・
上図以下、▲4九同銀 △同と ▲同玉 △5八金(下図)
4九で清算しますが、これは△5八金 から詰みます。
上図以下、▲3八玉 △4八金 ▲同玉 △5八飛(下図)
玉を裸にして飛車を打ち・・・
上図以下、▲4七玉 △3八角(下図)
角の王手を決めれば・・・
上図以下、▲3六玉 △3五銀 ▲4五玉 △5四銀打(下図)
どこへ逃げても△3五銀 からの詰みです。
△5九と に▲4九銀打 の変化
4八から打ってもダメだったので▲4九銀打(下図)と連結よく受ける手もありますが・・・上図以下、△4九同と(下図)
素直に取れば寄り筋です。
▲4九同玉 なら△6九竜 ▲4八玉 △5八金 ▲4七玉 △4八飛(下図)から・・・
どこへ逃げても頭金までの詰みなので、△4九同と は▲同銀(下図)と取るのが最善になります。
上図以下、△5八銀(下図)
これには△5八銀 と絡めば詰めろが継続されます。
取ると△同桂成 で攻めが早まるので・・・
上図以下、▲3八銀打 △6九竜(下図)
美濃を再構築する▲3八銀打 が最善ですが、△6九竜 と迫れば△4九銀成 からの詰みを受けるのが難しく寄りです。
もし受けるなら▲7六角(下図)と打つくらいでしょうか・・・
上図以下、△4九銀成 ▲同銀 △4八金(下図)
これには銀を取って△4八金 と打てば詰み筋です。
上図以下、▲4八同玉 △5八飛(下図)
この飛車打ちで守備駒を剥がし・・・
上図以下、▲5八同角 △同桂成 ▲同銀 △3九銀(下図)
銀を打てば詰みですね。
▲3八玉 なら△4八金 までの詰みなので上へ逃げますが・・・
上図以下、▲4七玉 △3八角 ▲4六玉 △5五金打(下図)
どこへ逃げても金を打てば詰みます。
△5九と に▲1四桂 の変化
早逃げしても銀を打ってもダメなので▲1四桂(下図)と上部への退路を空ける手が最後の手段になります。ちょっとハッとする手ですよね。
でもそこまで影響はないので素直に取れば大丈夫です。
上図以下、△1四同香(下図)
ここで▲2八玉 なら△4八金 と貼りつけば上部を空けたメリットも小さく詰めろの連続で迫れるので候補から外れます。
・▲4八銀
・▲4九銀打
の受けには入手した桂を使った寄せがあるので紹介します。
△1四同香 に▲4八銀 の変化
▲4八銀(下図)と受けた場合は・・・上図以下、△5八桂成(下図)
桂を成り込み△4八成桂 ▲同玉 △5八飛 からの詰めろを掛ければ寄り筋です。
上図以下、▲5九銀 △4七桂(下図)
受けるなら「と金」を外すくらいですが、そこで△4七桂 から詰むのがこの変化ならではの利点です。
▲2八玉 なら△3九角 から簡単に詰むので取るしかありません。
上図以下、▲4七同銀 △4九飛(下図)
銀の利きが消えた4九から飛車を打ち・・・
上図以下、▲3八玉 △2八金(下図)
金を捨てれば詰み形ですね。
上図以下、▲2八同玉 △3九角(下図)
以下、▲3八玉 なら△2八金 までの詰み・・・
▲1八玉 なら△1六香 ▲1七銀 △2八金(下図)までの詰みです。
香が走れる利点も活かしたキレイな詰みですね。
△1四同香 に▲4九銀 の変化
▲4九銀打(下図)と美濃を再構築して受けた場合は・・・上図以下、△4九同と(下図)
素直に取れば詰み筋です。
▲4九同玉 なら△5九飛 ▲4八玉 △5八飛成 などから詰むので・・・
上図以下、▲4九同銀 △4七桂(下図)
銀で取りますが、またしても△4七桂 が刺さります。
▲2八玉 なら△3九角 ▲3八玉 △2八飛 ▲4七玉 △5六銀(下図)からの詰み・・・
△4七桂 に▲4八玉 なら△5八飛(下図)と打ち・・・
以下、▲4七玉 なら△5六銀 ▲同歩 △5七金 ▲4六玉 △3五金(下図)までの詰み・・・
△5八飛 を▲同銀(下図)と取った場合は・・・
上図以下、△3九銀 ▲4七玉 △3八角(下図)
銀の拠点を作ってから角を打てば詰みます。
取れば△4八金 までの詰み・・・
▲3六玉 や▲4六玉 なら△3五金 までの詰みです。
なので△4七桂 には▲3八玉(下図)と逃げますが・・・
上図以下、△2八金(下図)
この金捨てから詰みます。
▲2八同玉 なら△3九銀 ▲3八玉 △4八飛(下図)と打ち・・・
上図以下、▲4八同銀 △4九角(下図)
銀を吊り上げて角を打てば詰み形です。
以下、▲4九同玉 なら△5八金 ▲3八玉 △4八金 までの詰み・・・
▲4七玉 なら△5八角成 ▲4六玉 △5五金打 までの詰みです。
なので△2八金 には▲4七玉(下図)と逃げますが・・・
上図以下、△5八銀 ▲同銀 △3八角(下図)
銀捨てから△3八角 を決めるのが好手順で、上へ逃げれば△3五金 までの詰み・・・
▲4八玉 なら△4七金 ▲同銀 △4九飛(下図)までの詰みです。
色々と変化がありましたがこれで終了です。
お疲れさまでした。
最後に
一手の余裕がある終盤ならではの「詰めろで迫る寄せ」でした。
理屈は単純でも裏に隠れた読み筋が多くて簡単にできないのが寄せの難しさですね。
改めて詰将棋を正確に解ける大切さを感じた検討結果でした。