人生詰んだニートのブログ

人生詰んだニートが「日々の愚痴」や「趣味の将棋」について書いているブログです。

【直感のズレ2】「さばき」の意味について真剣に考えてみた【次の一手】

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今回は「きのあ将棋」の「郷谷さん(上級-)」に

後手番 ノーマル三間飛車

で挑み

直感のズレ

を象徴する悪手を指して負けた一局を検討したら

「さばき」の意味を考えるのにピッタリな一手

があったので「次の一手」として出題しつつ

「さばき」の概念

について私なりの解釈で言語化したいと思います。

「さばき」って何?

「さばけた」ってどういう状態のことを言うの?

という疑問を持っている方はちょっとお付き合いください。


「さばき」の題材になる「次の一手」

上図は、前回の「直感のズレ」で最善手を逃した実戦の進行です。

▲2四歩 と突かれた所なんですが、この手は「大駒の活用」と「2筋の突破」を狙っています。

形勢は後手持ちの互角(-200点)なので正しく指せれば問題なかった所、また感覚がズレた一手を指して形勢を大きく損ねました。

その悪手の話は後半に書くので、まずは次の一手として

AIが示した好手

を考えてみてください。

ヒントは

先手の大駒を有効に使わせずに寄り形を目指す

です。

「次の一手」と言いつつ3手目がポイントになります。

どう指せば戦える形を保てるでしょうか・・・

手が浮かんだらスクロールしてください。









次の一手の答え

では答えです。

上図以下、△7七角成(下図)

「次の一手」としては角を切るのが正解です。

ただ、狙いは次の手なので3手目がポイントと書きました。

上図以下、▲7七同金 △6八銀(下図)

入手した銀で「7九の角」を抑えるまでが3手1組の正解手順になります。

ここは「先手の角を働かせない」のが急所だったようです。

ヤケクソのように見えますが

「働きの悪い角」を犠牲にして「急所に利いた角の働きを悪くする」

という実戦的な手順ですね。

穴熊に食いつきながら「3一の飛車」が先手陣に通り、後手の駒の効率が上がった感じがあります。

相対的に見て自分の駒の働きが良い状態にする

という「さばき」の基本を守った3手だったのかもしれません。

上図以下、▲8八角(下図)

▲6八同角 だと△同成銀 で危険度が増すからかAIは角を逃げる手を推奨していましたが・・・

上図以下、△7七銀成 ▲同角 △7八金(下図)

それには金を取って△7八金 と食い付けばやや後手持ちの互角(-200点)を保って戦える流れになります。

上図以下、▲2二角成 △6八成銀(下図)

飛車に当たる所に角を成っても、飛車を取ると△8八銀 の詰みがあるので取れません。

そのスキを突いて成銀を寄せ、穴熊の強みを活かせない形にすれば勝負形です。

上図以下、▲9七銀 △4一飛(下図)

お互いに最善を尽くせば難しいですが、この展開なら△7九成銀 のような寄り形が見えて悪くないですね。

急所になる駒の見極めの大切さが分かる手順でした。


実戦で指したズレた一手

この局面の急所は

「7九の角」を働かせないこと

なのに、私が指したのは・・・

上図以下、△2四同歩(下図)

素直に歩を取る手でした。

これは

「働きの悪い『3三の角』が交換できれば少しはマシになるかな?」

という考えで指した一手です。

「角をどうにか使える形にしたい」

という発想は悪くないと思いますが、その手段が最悪でした。

上図以下、▲2四同角 △同角 ▲同飛(下図)

なぜなら、このように2筋で角交換した形は

自分の駒よりも相手の駒の方が働いているから

です。

角を交換して使い所が増えた

という部分的なメリットと引き換えに

・先手の角も自由になった
・▲2二飛成 の先手を取られている
・このまま攻め合いになれば玉が堅い先手ペース

など、相手のメリットの方が大きく

相対的に見て後手のマイナスになっている

ため、先ほどの正解手と比べると明らかに損をしています。

抑えるべき大駒をさばかせたのは形勢を損ねる大悪手でした・・・

AIで検討するとまだ難しいとはいえ、先手より有効な手がなく気持ち的には敗勢です。

よく

さばき

という言葉を使って振り飛車の記事を書いていますが

その基本すら理解していなかった・・・

というのを痛感するズレっぷりでしたよ。

そもそも「さばき」という概念自体が難しいんですが、今回の手順は例として使えそうなので反省も込めて意味を考えてみたいと思います。


「さばき」の意味って?

将棋で使われる

さばき

という言葉の意味を一言で表現すると

駒を的確に働かせること

になると思います。

似た感じで

駒の力が(最大限に)発揮できた状態

と言うこともできるかもしれません。

「的確に働かせる」

「力が(最大限に)発揮できた」

というのは

・駒を取る
・駒を交換する
・駒を急所に繰り出す
・大駒を成り込む
・それぞれの駒の利きを有効に使う

など、その手によって得をしたり、形勢が良くなるくらい

効率よく駒を使えた状態

のことを指します。

将棋というのは

相手よりも効率よく駒を使った方が勝つゲーム

なので、ある意味

将棋の極意

のようなものですね。

こう考えた時、

自分の駒をどうやって効率よく使うか

に目がいくと思いますが「さばき」というのは

相手との兼ね合いがある「相対的なもの」

というのを忘れてはいけません。

「自分の駒を効率よく使う」

のも大切ですが、それと合わせて

「相手の駒を効率よく使わせない」

のが勝つためには必須になる要素ですから。

つまり、「さばき」とは

相手よりも自分の駒の方が働いている状態を目指すこと

であり、それを達成した時を

さばけた

と言うのが本質になります。

あくまで私なりの解釈ですが、大きく間違ってはないと思うのでこういう意味で話を進めます。


今回の局面で「さばき」について考える

ここで最初の図の出番です。

「さばき」という言葉を先ほどの意味で捉えた場合、この局面から

相対的に見て「自分の駒の方が働きが良い状態」を目指す

のが大切になります。

そういった目線で見ると

・先手は2筋で角交換ができれば「さばけた状態」になる

・後手はそれを阻止して先手の大駒を抑えないと「さばけた状態」にならない

と言えると思います。

これを対局者として見た場合、後手を持った私は

先手の大駒を働かせないこと

に重点を置き、その上で

「相対的に自分の駒の働きが良い状態になる形はないか」

を考えなければいけなかったんです。

これをを元に先ほどの手順を見直すと、私が実戦で指した△2四同歩(下図)がいかにダメな手かが分かりますね。

「自分の駒の効率しか考えてない」のが致命的です・・・

先手がさばける▲2四同角 のお手伝いにしかなってないってのがもう・・・

こんな手を指している内は「さばき」の「さ」の字も分かってない証拠ですよ。

それに引き換え、AIが示した△7七角成 ▲同金 △6八銀(下図)の手順・・・

先手の大駒を働かせない

を達成しながら見事に自分の駒を働かせて効率が逆転しています。

将棋の本質を理解しているAIの凄さを改めて感じますね。

この違いから

相対的に

という言葉の意味が何となく伝わったでしょうか・・・

こういう手が一番に浮かぶようになって初めて

「さばき」という概念に触れた

と言えるのかもしれません。


最後に

実戦を元に

さばき

という概念について私なりの解釈で説明してみました。

相対的に見て「相手より駒の働きが良い状態」にすること

というのが今の所の認識です。

将棋を指す上で最も基本となる考え方

なのに

そう簡単にできないのが「さばき」の難しさ

ですね。

明快に説明できないのもそういう所に理由があるんじゃないかと思います。

けっこう曖昧な感覚なので何年か経てばまた違った解釈になるかもしれません。

ここまでの話はあくまで私なりの意見ですが

「さばき」って何?

どういう意味の言葉なの?

と思っていた方のモヤモヤを少しでも晴らすヒントになっていればいいなと思います。