上図は、ノーマル三間飛車 vs 居飛車穴熊 の中盤戦です。
次に▲7一飛成 を狙っていたら△7五歩 と大駒の焦点に打たれ、
角で取るか・・・
飛車で取るか・・・
飛車を逃げるか・・・
の選択を迫られています。
この中で1つだけハズレがあり、実戦ではその手を指して形勢を損ねました。
その変化は後半に書くので、まずは「次の一手」として正着を考えてみてください。
答えは数行下の見出しで書きます。
次の一手の答え
では答えです。
上図以下、▲7五同飛(下図)
角か飛車で歩を取る手が正解でした。
AIは飛車で取る手を最善と示していたので、まずは▲7五同飛 の変化を解説します。
上図以下、△7四香(下図)
この香打ちが見えて妥協した人もいると思いますが・・・
上図以下、▲8五銀(下図)
飛車取りのお返しをすれば大丈夫です。
△8二飛 や△8三飛 なら▲7四銀 と香が取れるので・・・
上図以下、△7五香 ▲8四銀 △7七香成(下図)
飛車を取り合い、先手は「と金」を頼りに・・・
後手は「成香」を頼りに敵陣の攻略に掛かる感じになります。
上図以下、▲5二と △6六桂 ▲5九金引 △6七成香 ▲7一飛(下図)
美濃 vs 穴熊 では堅い穴熊に分がありそうに思えますが、
・先手の角が急所に利いていて、最悪でも▲3一角成 で金と刺し違えられる
・後手が歩切れで攻め駒も乏しい
・先手の方が先に囲いに食い付けそう
などの要素によって先手やや有利(+250点)くらいの形勢になっています。
上図以下、△8八飛 ▲4一と(下図)
急所に「と金」が入った上図は正しく指せれば先手が勝てる将棋です。
上図以下、△4一同金 ▲同飛成 △5八桂成 ▲4二金(下図)
角と竜の利きを活かして▲4二金 と貼りつくのが一例になります。
寄せ切るまでは難しいですが、AIに指し継いでもらった結果・・・
上図の「ナナメ駒がなければ詰まない形」になり・・・
上図以下、△3一銀 ▲同馬 △2二金(下図)
ここで後手玉が詰みがあって先手の勝ちになりました。
詰み手順は「実戦詰将棋151」として出題したのでリンク先を参照してください。
角で取るのは次善手
△7五歩 を▲同角(下図)と取るのは次善手ですが形勢は悪くないので大丈夫です。上図以下、▲8七飛成(下図)
この飛車成りが気になりますが・・・
上図以下、▲3一角成(下図)
ズバッと角を切ってしまえば美濃の遠さを活かした寄せ合いに持ち込めます。
・△7六竜
・△3一同銀
に別れるので一例を紹介します。
▲3一角成 に△7六竜 の変化
△7六竜(下図)と飛車を取ってきた場合は・・・上図以下、▲3二馬 △同馬 ▲5二と(下図)
「と金」と拠点に金銀4枚で絡めば戦えます。
次に▲4一銀 ~ ▲3二金 が狙いですね。
後手からも△2四香 や△3五桂 と玉頭を絡めて攻める手や・・・
△7九竜 ~ △8九飛 などの2枚飛車で攻める手などがありますが・・・
攻められた場所に応じて金か銀で補強すれば簡単に寄らないので大丈夫です。
▲3一角成 に△3一同銀 の変化
△3一同銀(下図)と馬を取った場合は・・・上図以下、▲7二飛成(下図)
飛車が成り込めて先手充分な形勢になります。
以下、AIが示した一例です。
上図以下、△2四香 ▲4一銀 △2二金 ▲5三と(下図)
玉頭を狙う△2四香 から攻め合いを狙ってきたら「銀」と「と金」で迫る形を作り・・・
上図以下、△3五桂 ▲3六銀(下図)
△3五桂 に▲3六銀 と受けておけば先手有利(+800点)な終盤戦です。
以下、△8九竜 に▲7九歩 と受け、後手の攻めが決まりにくい形にしてから寄せにいけば戦えます。
攻め方の一例としては▲3五銀 と桂を取り、▲4五桂 で馬の働きを悪くしてから迫る感じですね。
実戦で指したズレた一手
△7五歩 は取れば先手ペースだったのに・・・
上図以下、▲7九飛(下図)
私が指したのは飛車を逃げる一手でした。
これは飛車を押さえ込まれるハズレの手で、形勢は後手やや有利(-250点)になってしまいます。
先ほどの正着だった▲7五同飛 △7四香 ▲8五銀 からの飛車交換や・・・
▲7五同角 △8七飛成 ▲3一角成 の展開が見えていながら
「穴熊相手に飛車交換になるのは怖い・・・」
と浅くしか読まず、一番ダメな手を選んでしまったのが致命傷になりました。
攻め将棋なのに肝心な所で踏み込めず、変な安全さを求めて逃げ腰になるクセがあるんですよね・・・
△7五歩 の叩きは
勝負所で怯む
という私の悪い所を引き出し、後手にとっての好手になりました。
「美濃より穴熊の方が堅い」
「飛車交換は分が悪くなりやすい」
という考えはそこまで間違いでもないけれど、盤面全体のバランスを見て判断できないのが酷い・・・
上図以下、△7六香(下図)
この香打ちが飛車を押さえ込む急所の一手で・・・
上図以下、▲7七歩 △8六飛 ▲同歩 △7七香不成(下図)
一気に飛車を窮屈にされてしまい
「こんなことなら飛車を交換した方がマシだったな・・・」
と後悔する展開に・・・
以下、▲7八歩 には△9七角 から飛車を圧迫されますし・・・
かといって飛車を逃げても△7八香成 が厳しいです。
こうなると穴熊に先に噛みつく展開にするのが難しく後手ペースの終盤戦ですね。
優勢で入れた終盤を怯んで逃したのは痛かった・・・
最後に
逃げる手だけはない
という局面で逃げてしまうズレっぷり・・・
こういう所で
分からないけど踏み込む
という選択を取れるようになりたいです。
この手の負けは後悔が残りやすいし悔しさも大きい・・・
少しでもマシにするには
どうせ負けるなら攻め合い負け
くらいの感じで突っ込むのがいいのかもしれませんね。