人生詰んだニートのブログ

人生詰んだニートが「日々の愚痴」や「趣味の将棋」について書いているブログです。

「対振り飛車の大革命 エルモ囲い急戦」のレビュー 「elmo急戦」の仕掛けに重点を置いた本

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今回は、新しい感覚の急戦を学べる本

「対振り飛車の大革命 エルモ囲い急戦」


のレビューをしたいと思います。


この本は、AIの「elmo」が使ったことで話題になった

「elmo囲い」(下図)

からの急戦策として、最も基本となる

・対 四間飛車
・対 三間飛車

への仕掛け方に焦点を当てて書かれた本です。

「対 振り飛車への急戦を覚えたい」

という人が読んでも悪くないですが、どちらかと言うと急戦の基本は知っていて

「囲い方が変わっただけで攻め筋は似てるからすぐ指せるはず」

と思って「エルモ囲い急戦」をやってみたけれど

・右辺がちょっと薄い
・玉頭がちょっと弱い
・玉の距離感の違い

などの「陣形や玉形の違い」の感覚がイマイチしっくりこなくて

「あれ? なんか上手くいきそうで上手くいかない・・・」

「玉が固くなってるから楽勝かと思ったのに・・・」

「どう指せば『エルモ囲い』を活かせるんだろ?」

といった感じでちょっと困惑している人にオススメの本ですね。

もし「対振り飛車への急戦を基本から学びたい」と思ってる人がいましたら

四間飛車破り【急戦編】


から読むのがオススメです。

過去にレビューを書いたので参考にどうぞ。


dame-ningen.hatenablog.jp


この記事では「エルモ囲い急戦」について

・大まかな内容
・収穫のあった部分

に触れながら感想を書いていくので、購入を迷っている方の参考になれば嬉しいです。


「エルモ囲い」がもたらした可能性

「エルモ囲い」というのは、従来の舟囲いから▲7九金(下図)と金を1つ寄った形のことです。

「たった1手、金を寄っただけ」

なのに見違えるほど耐久性が上がった有力な囲い方になります。

本書の序章では

「エルモ囲いとは?」

と題して囲いについての簡単な説明から始まりますが、ここでチラッと解説された

駒組みの可能性

が参考になりました。

どんな話か大まかに触れると、昔なら

「その手を早めに決めると後の駒組みが難しくなるかも・・・」

という感じで「やや疑問」と思われた一手が

「エルモ囲いを視野に入れればそこまで負担にならない」

といった進歩を遂げた感じです。

居飛車党なら知って損がない柔軟な「エルモ囲い」の優秀さを学ぶと1つ成長するかもしれません。


細かな形の違いによる有効な仕掛け方が学べる

本書の売りは

「序盤の駒組み」と「形別の有効な仕掛け方」

に重点を置き、そこまで深く終盤まで触れない代わりに「仕掛けのポイント」について詳細に解説されている所です。

例えば「対 四間飛車」において「エルモ囲い急戦」の仕掛け方は従来の急戦と同じで

・▲4六銀型(下図)

・▲4六歩型(下図)

がメインなんですが、まずはメジャーな2つの攻め方について

「後手がどういう形なら有効なのか」

について細かく陣形の違いに触れながら成功例や失敗例が解説されているため、

・仕掛けが成立する形
・仕掛けてはいけない形

について要点を抑えて学ぶことができます。

「後手がどこの歩を突いているか」

「端歩を突いてあるか」

など、歩の場所のちょっとした違いで変わるほどの細かさなので、これらをしっかり理解すれば仕掛けの段階で不利になる展開は避けられますね。

三間飛車 では

・△4三銀型(下図)


・△5三銀型(下図)

への攻め筋として定番の▲5六歩型 からの仕掛けを後手の形別に細かく解説しているだけではなく・・・

序盤に▲4六歩(下図)と突き・・・

▲5六銀(下図)の腰掛け銀に組んでからの攻め筋も解説されています。

腰掛け銀での攻め筋はあまり知らなかったので、個人的にはかなり参考になった部分でした。

ここまでを読めば「エルモ囲い急戦」を指す上で必要な攻め筋について

・〇〇の形なら〇〇の攻め方が有効
・〇〇の時は〇〇は不利になる

という感じで必要な基礎はだいたい抑えられると思います。


穴熊に囲われた場合の対策が面白い

振り飛車が「美濃囲い」に囲う形への急戦を学んだ後は

穴熊に組まれた時の攻め方」(下図)

について解説されています。

ここまでに学んできた攻め筋を元にした急戦だけじゃなく・・・

「エルモ囲い」を活かした「対 穴熊」への有力な駒組み

が解説されていたのは新しい発想を知れて参考になりました。

ネタバレになるので具体的な形には触れられませんが、ここから

「この駒組みを研究していたら有力に見えた形」

に繋がり

「昔なら『悪型』として片づけられそうな形」

での穴熊対策までサラッと学べます。

色々と試行錯誤した先にこういう形に行き着くとは・・・

現代将棋を象徴するような柔軟性は見習いたいですね。


結果図の評価はAIを基準にしている

本書では新しい取り組みとして、結果図の評価を

「人間の感覚」ではなく「AIの評価値」

を基準にしていて、今回は「エルモ囲い」についての本なので

「elmo(2017年バージョン)」

による評価値で判断していました。

「先手よし」と言われても具体的にどれくらい良いのか

「互角」で終わった局面の微差

が数値として分かるのが現代風ですね。

今見るとちょっと古いAIの評価値というのもあり

互角(+100 ~ -100)で終わった局面

を最新のAIで見たら多少の違いはあるかもしれませんが、

「先手よし」で終わった局面が「後手優勢」だった・・・

という

「昔の定跡書をAIで検討したら稀に見つかる大ミス」

ほどの事態は起きにくいと思うので、気になる局面をAIで並べる必要がないのはちょっとありがたかったです。


最後に

「エルモ囲い急戦」

をやってみたけど上手くいかず、基本から学びたくなったなら

「対振り飛車の大革命 エルモ囲い急戦」

はオススメできる一冊です。

・対 四間飛車
・対 三間飛車

への手順を通して

まず知っておくべき「駒組み」から「仕掛け方」

を一通り学び、本書の内容を理解すれば「エルモ囲い急戦」での基本的な指し方が頭に入るので

「イマイチ上手くいかない・・・」

と思っていた「エルモ囲い急戦」の指し方が大きく改善されて楽しくなると思いますよ。

従来の急戦より一歩進んだ感覚を身につけたいならぜひ読んでみてください。