今回は「ぴよ将棋w」の
Lv29 ひよね(三段+)
を「先手番中飛車」で倒した一局を紹介します。
見所は
・千日手を避ける8筋の対処
・ミスをトガめる桂跳ね
・AIが示した厚い押さえ込み
・穴熊の寄せ
の4つです。
意外なミスをする三段を攻略するヒントになれば嬉しいです。
後手から角交換される展開
先手が「私」、後手が「ひよね(三段+)」です。初手から、▲5六歩 △3四歩 ▲5八飛(下図)
初手▲5六歩 に△3四歩 だったので▲5八飛 とシンプルに振る分かりやすいスタートになりました。
上図以下、△4二銀 ▲7六歩 △8八角成(下図)
△4二銀 は相振り飛車を匂わす一手ですね。
これには▲7六歩 と角道を開けて後手の対応を見るのが今の所のパターンです。
△4四歩 と角交換を拒否する展開もありますが、今回は△8八角成 と積極的な手を選択してきました。
上図以下、▲8八同銀 △8四歩 ▲4八玉(下図)
△8四歩 と居飛車を宣言したのでよく見る展開に進みそうですね。
ちなみに、局後にAIで検討したら角は▲8八同飛(下図)と取る手もあったようです。
上図以下、△5七角 ▲2二角(下図)
お互いに角を打ち合い・・・
上図以下、△3一金 ▲7七角成 △2四角成(下図)
上図のように馬を作り合う変化と、△3一金 ではなく△3三銀(下図)と受け・・・
上図以下、▲1一角成 △3一金(下図)
と馬を閉じ込める変化に分かれます。
どちらも少し先手持ちの形勢(+100くらい)を示しているので、上記の展開が好みならやってみる価値はあるかもしれません。
すぐ8筋を受けない方がいい
本譜に戻ります。まずは玉を囲って安定させ、後の戦いに備えます。
上図以下、△3二金 ▲3八玉 △8五歩 ▲2八玉(下図)
△8五歩 に▲7七銀 と受けず▲2八玉 と囲えるのがこの形の利点ですね。
△8六歩 ▲同歩 △同飛 の一歩交換には▲7七角(下図)の飛車・香 両取りがあるのですぐにはできません。
なので本譜は△6二銀(下図)から囲い合いになります。
上図以下、▲3八銀 △4一玉 ▲1六歩 △5一金 (下図)
後手陣はちょっと独特な囲いですが引き締まったいい形ですね。
中央に厚く簡単にはいかなそうです。
ここで▲1五歩 と端を広げて様子を見るのが最善でしたが、本譜はちょっとイマイチな駒組みをしてしまいました。
上図以下、▲7七銀(下図)
反撃の筋があるからまだ受けなくていい飛車先を受け・・・
上図以下、△3三銀 ▲7八金 △3一玉 ▲5九飛(下図)
中飛車の理想形を急いだのは、悪くないけどもったいない感じがします。
もう少し工夫できたかもしれません。
8筋の対応で千日手になる変化があった
ここから8筋の攻めを狙う駒組みを目指します。
上図以下、△4一金 ▲6六銀 △8六歩(下図)
銀を上がったタイミングで8筋の歩交換にきました。
上図以下、▲8六同歩 △同飛(下図)
ここで▲7七桂(下図)と跳ねるのが流れとして良い感じですが・・・
上図以下、△8九角(下図)
この角打ちから千日手模様になる変化があるとAIが示していました。
上図以下、▲8七歩 △7八角成 ▲8六歩 △6七馬(下図)
先手は飛車を取り、後手は馬を作りながら金を取る変化に進み、6六の銀をどう受けるかが問題ですが・・・
上図以下、▲6九飛(下図)
無難に飛車で受けると千日手になるようです。
以下、△7八馬 ▲5九飛 △6七馬 ▲6九飛 △7八馬・・・
とお互いに安く済まそうとするとループします。
ちょっと上手く指せば優勢になれそうなので、後手には工夫の余地がありそうですが・・・
▲6九飛 に△6八金(下図)と強気に飛車を取りにいっても・・・
上図以下、▲6八同飛 △同馬 ▲6一飛(下図)
飛車を切ってから▲6一飛 の打ち込みが厳しく先手ペースです。
もし千日手を回避する形で馬を逃げるなら
・△5六馬
・△7六馬
の2つが考えられますが、それぞれちょっと難しいのでザっと解説します。
△5六馬 と逃げた場合
△5六馬(下図)のように馬を逃げると・・・上図以下、▲6五桂(下図)
この桂跳ねが厳しいです。
△6四歩 と桂取りにいくと▲5八飛打 ~ ▲5三桂不成 があるので・・・
上図以下、△4四銀 ▲8三角(下図)
5筋を受ける△4四銀 が推奨されていましたが、▲8三角 で馬を消す狙いがあって先手ペースです。
次に▲7三桂成 から馬を交換できればサッパリしますね。
それを避けるなら△7八馬(下図)とかわすくらいですが・・・
上図以下、▲7二角成(下図)
攻め合いにいけば美濃の遠さが活きる展開になります。
以下、△6九馬 ▲6二馬 と取り合う変化は玉が固い先手ペースです。
△7一金 のように馬に当てて受けた場合は、▲同馬 と切ってから▲5九飛 と逃げ・・・
△5一金 のように先手を取らない形なら▲5九飛 と逃げてから▲8二飛 などを狙えばOKです。
△7六馬 と逃げた場合
△5六馬 がダメなら△7六馬(下図)と逃げる手もありますが・・・上図以下、▲8五角(下図)
この角打ちで馬を狙うのがAI推奨の一手でした。
上図以下、△8七馬 ▲5九飛 △8四歩 ▲5八角 △6八金(下図)
大駒の両取りを食らってピンチに見えても・・・
上図以下、▲8二飛(下図)
この飛車打ちが厳しく先手ペースです。
美濃囲いがしっかりしてるので攻め合いになれば先手に分があります。
無理に動いてもダメそうなので、後手は千日手に持ち込むのが最善かもしれません。
本譜の進行
▲7七桂 に△8九角 と打つ変化は先手のミスを待ちながら攻め、▲6九飛 と指されたら千日手に持ち込む
といった権利がある後手がよさそうですね。
そういった展開を知っていたわけではありませんが、本譜は△8六同飛 に▲7七桂 ではなく▲8七歩(下図)と受け・・・
上図以下、△8二飛 ▲7七桂 △2二玉 ▲8九飛(下図)
と無難に8筋を狙う展開になりました。
面倒な変化を避けるならこれがよさそうです。
「ひよね」が8筋の受けをミスる
上図以下、△1二香 ▲8六歩 △7四歩 ▲8五歩(下図)
後手は穴熊を目指し、先手は8筋からの攻めを狙う展開になっています。
ここで△8三歩 なら長い将棋だったんですが・・・
上図以下、△7三銀(下図)
歩を節約して△7三銀 と受けたのが三段らしくないミスで先手優勢になりました。
上図以下、▲6五桂(下図)
この桂跳ねは気持ちいいですね。
後手は「銀損」か「8筋を突破されるか」を選ぶしかない状況になっています。
上図以下、△6四銀 ▲8四歩 △8七歩(下図)
銀を逃げたので▲8四歩 から8筋突破を狙った所で△8七歩 と怖い歩を打ってきました。
局後の検討では、ここで▲8三角 と打って▲7四角成 ~ ▲8三歩成 でしっかり押さえ込む手が最善と示していましたが・・・
上図以下、▲8七同飛 △6九角 ▲8九角(下図)
シンプルに歩を取り、△6九角 に▲8九角 と受けた本譜の手順でも大丈夫です。
この▲8九角 は筋悪っぽいですが、この形ならではの受けとしてよく見る一手になります。
部分的な受けとして覚えておくと役立つかもしれません。
上図以下、△1一玉 ▲8三歩成(下図)
8筋の突破が確定して先手勝勢になっています。
上図以下、△5二飛 ▲7二と △6五銀 ▲同銀 △6四歩(下図)
手筋の「と金」捨てに後手が必死の抵抗を見せ・・・
上図以下、▲6四同銀 △7七桂(下図)
対応を迷う桂打ちで惑わしてきました。
ここは角を見捨てて▲8一飛成 といき、△8九桂成 に1回▲6八金 と角取りに受けておけば大差の勝利だったようです。
本譜は安全勝ちを目指し・・・
上図以下、▲7七同飛 △7二飛 ▲8七飛(下図)
桂を取ってから8筋に飛車を戻る手を選びました。
これでも先手勝勢なので問題ありません。
穴熊を寄せる
上図は飛車を成り込んでから数手進んで寄せに入った局面です。
先手玉はまだ安全なので的確に攻めれば勝ち切れそうですね。
ここからシンプルに寄せます。
上図以下、▲5五桂(下図)
金剥がしを狙う▲5五桂 がキツイです。
上図以下、△7六歩 ▲4三桂成 △同金 ▲同成銀 △5九銀不成(下図)
一瞬、▲4九金 と受ける手も考えましたが、ここで決め手があったので踏み込みました。
上図以下、▲3一飛成(下図)
ズバッと飛車を切るのが受けなしに追い込む一手です。
ここで「ひよね」の投了となりました。
以下、△3一同銀 には▲2二金(下図)から竜も切ってバラし・・・
▲3一銀(下図)と打てば、取っても逃げても金打ちまでの詰みですね。
最後に
「ひよね」の凡ミスをトガめて勝った1局でした。前回のピヨ幸もそうでしたが、8筋からの逆襲に甘い受けをする傾向があるので、
「飛車先の歩交換をされたら▲8九飛(下図)から反撃にいく」
みたいな方針で指すと勝ちやすいかもしれません。
この辺の駒組みや攻め筋は
を読むと参考になります。
中飛車を学ぶなら最適な本なので、興味がありましたら読んでみてください。
ひよこ攻略のヒントが手に入るかもしれませんよ。