今回は、最新のトマホークの手順が学べる本
「攻める振り飛車 三間飛車トマホーク」
のレビューをしたいと思います。
この本は、三間飛車での居飛車穴熊対策として有力な戦法
「三間飛車トマホーク」
に特化してかなり深い所まで解説された本です。
ここ数年の間に発売された他の三間飛車の本でもサラッと解説されていますが
基本を抑えた上での最新の形
まで解説しているのは2022年12月現在では本書くらいではないでしょうか・・・
もし「トマホーク」に興味を持ったなら外せない一冊になりますね。
この記事では
・大まかな内容
・収穫のあった部分
に触れながら感想を書いていくので、購入を迷ってる方の参考になれば嬉しいです。
トマホークの基礎からしっかり学べる
トマホークというのは△5四歩 と5筋の歩を突かないで一直線に穴熊に潜った時(下図)
に有効な穴熊対策です。
上図以下、▲5六銀 ~ ▲4五銀 ~ ▲1七桂(下図)
と一気に攻勢に出るのがトマホークの基本になります。
上図の▲1七桂 が「速攻の端攻め」を狙うトマホークならではの一手ですね。
個人的にかなり好きな戦法で、このブログでも
「きのあ将棋」の「郷谷さん(上級-)」の攻略手順
として記事を書いています。
本書の第1章では、この基本形からの攻め筋について
・後手の様々な応手への対応
・トマホークならではの端攻めのパターン
をしっかり抑えながら、形によっては詰み形が見えるまで
広く深く
トマホークに特化した本ならではの解説がされているので、基本はバッチリ抑えられますよ。
この手順を覚えれば素直に受けてきた初見の人を一気に攻め潰せると思います。
本書の売りは「角頭の歩を受けない変化」に触れている所
第1章で基本を抑えた後は「研究が進んだトマホーク対策」に進みます。それが「角頭の歩を受けない形」です。(下図)
今までは▲4五銀 に△8四飛 と受けるのが形だったんですが、
「飛車を浮くと目標にされやすい」
というデメリットが浮き彫りになってきたからか、最近は飛車を浮かない形がメジャーになりつつあるようです。
「ぴよ将棋」の高段にトマホークで挑んだ将棋をAIで検討していた時、△8四飛 と受けず△3二金 と歩を取らせる手が最善と示され
「歩が取れれば優勢と思っていたけど、意外とその後の指し方が難しい・・・」
「どう指すのが効果的なんだろ・・・」
という課題を個人的に抱えていたのもあって、歩を取ってからの方針について知れたのは大きな収穫でした。
この変化は他の本では見かけないので、トマホークに特化した本書ならではの売りだと思います。
一歩進んだトマホークを知りたいなら買いですね。
基本から対策の先にある「新しい形」が面白い
第3章では「基本」と「対策」を踏まえた上でちょっと工夫したトマホーク
が解説されています。
色々あった末に生まれた「最新のトマホーク」と言った方がいいでしょうか・・・
手順の妙というか・・・
タイミングの違いというか・・・
「ちょっと巻き戻して考え直してみよう」
という定跡の進歩を感じられる内容ですね。
こういった所まで触れているのは1つの戦法に特化した本ならではだと思います。
もし居飛車穴熊を持った時、この変化でトマホークをやってきた人がいたら
かなり研究熱心な強者
として警戒した方がいいかもしれません。
ここは本書を買った時のお楽しみとして詳しい形や手順は伏せておきます。
他の三間飛車の本と合わせて買うのがオススメ
トマホークはけっこう限定的な戦法なのでこれ1冊で「三間飛車」を指すのは難しいです。もし最新の三間飛車を覚えようと思っているなら
「さわやか流疾風三間飛車」
「三間飛車藤井システム」
のどちらかと合わせて本書を買うのがオススメです。
上記2冊では穴熊対策の1つとして「トマホーク」の基本に触れているだけなので、実戦で指すには若干の不安が残ります。
それを本書で補えば
・△5四歩 を突かなければ「トマホーク」
・△5四歩 を突いたら「左銀速攻」か「藤井システム」
といった感じで穴熊への指し方に安心感が持てると思いますよ。
過去に上記2冊のレビューも書いたので、気になった方は参考にどうぞ。
最後に
「三間飛車トマホークについて深く学びたい」なら、広く深く解説されている
「攻める振り飛車 三間飛車トマホーク」
はオススメの一冊です。
基本から最新の手順までの流れを覚えながら
・端攻めのバリエーション
・手を繋ぐ手筋
などが身に付くので、ちょっとトマホークの基本を覚えた人よりもツーランク上にいけると思いますよ。
三間飛車での穴熊対策に興味がある方はぜひ読んでみてください。