今回は、「△5三銀型 三間飛車」を学ぶなら最適な本
のレビューをしたいと思います。
この本は、「三間飛車」を指す上で必須となる
・急戦 対策
・穴熊 対策
・左美美濃 対策
について
△5三銀型 三間飛車
を中心に
ならではの感性を元に厳選された手順を学べる本です。
他の本ではあまり見かけない急戦対策を始め、全体を通して
・軽くさばく手順
・逆に抑え込みを狙う手順
・攻めをかわす手順
など、振り飛車を指す上で知っておいて損のない手順が多く、
三間飛車を指すなら読んでおく価値のある本
だと思いました。
この記事では、個人的に見所だと思った部分を中心に感想を書いていくので、購入を迷っている方の参考になれば嬉しいです。
大山康晴 十五世名人を思わせる急戦対策
個人的にこの本の一番の見所は、他の本であまり見かけない急戦対策です。上図のように速攻で仕掛けられそうな局面で、普通なら
・△5二金左
・△7二銀
などで対応すると思いますが、記事タイトルで
「△5三銀型 三間飛車の指し方を学べる本」
と書いた通り△5三銀(下図)と上がる形が解説されています。
△5三銀 自体はけっこうある手なんですが、数手後に▲4五歩(下図)と仕掛けられた所で出た受けの一手が珍しかったです。
大山康晴 十五世名人の将棋を見てるような重厚感のある一手だったというか・・・
普段は居飛車党で急戦好きなんですが、もし三間飛車を相手にした時に本書の急戦対策をやられたら攻めにくくてけっこう嫌ですね。
ここが本書の売りだと思うので具体的な手は伏せますが、定番の急戦対策で行き詰まっている人なら参考になると思います。
他にも
・飛車を大きく使う柔軟な指し回し
・振り飛車らしい受けの秘手
などがあり、読んでいて面白かったですね。
私が三間飛車を指す時は
軽快なさばき
を理想としているんですが、軽快さだけじゃなく
重厚な受け
も知る必要があると思った手順でした。
穴熊には「真部流」
本書での穴熊対策は「△5三銀型 三間飛車」ではおなじみの「真部流」と呼ばれる形を解説しています。「真部流」というのは6筋の位を取った上図の形です。
本書では、
・角を上手く使った手順
・「と金」を使った攻め筋
・2筋の攻めを受け流すさばき
などが解説されています。
真部流を指す上での注意点も分かりますし、「△5三銀型 三間飛車」での持久戦の感覚を学ぶなら最適な内容ですね。
いつも△4三銀型の三間飛車ばかりやってる身としては左辺の薄さが不安になりますが、
軽く攻めをいなすような指し回し
を見るとちょっと△5三銀型にも興味が湧いてきました。
軽快な三間飛車を目指すなら、これを機に「真部流」を取り入れるのもアリかもしれませんね。
「天守閣美濃」対策
本書での左美濃対策は「天守閣美濃」への手順になります。まずは基本的な狙いを知るために中田 功 七段(当時)が発表した
「先手番での4枚美濃対策」
にサラッと触れています。
上図の局面から後手玉を必至に追い込む見事な手順は必見ですね。
理想的な攻め筋を学んだ後は
「後手番△5三銀型 三間飛車」
での左美濃対策の解説になります。
ここでも「対 穴熊」の時に見せた上手い角使いの手順を始め、
先手が▲7九角 の引き角から▲2四歩 △同歩 ▲同角(下図)
と攻めてくる手順への適切な指し方を学ぶことができます。
振り飛車党なら△2二飛(下図)と回るのがパッと浮かぶ定番の一手かと思いますが、
場合によってはその手が通用しないこともあるので、ここでその違いを学ぶと大きな成長に繋がると思います。
ここまでの
の手順を理解すれば
△5三銀型 三間飛車ならではの感覚
が身に付くと思うので、もし興味がある方はこの本からスタートしてみるのもアリだと思います。
最後に
「鈴木大介の将棋 三間飛車編」は、「△5三銀型 三間飛車」の手順を学ぶと共に、
にも触れられる面白い本です。
「軽いさばき」から「厚い指し回し」まで、三間飛車の可能性を感じる手順が満載で読み応えアリですよ。
特に
・急戦対策
・受けの秘手(72~74ページ)
は必見ですね。
三間飛車を得意戦法にしたいなら得るものが多いと思うので、興味が湧いたら読んでみてください。